水辺で待つ

書き残し

1年

 1年前、2020年、あなたは人生で一番の壁にぶつかる時を前にしてのんびりダラダラと毎日を過ごしていましたね。それは今でも変わっていません。相変わらず自分には世間一般で言われている危機感というものが足りないみたいです。ダラダラしています。それもあと少しで終わるかもしれませんが。それはさておき、視点を変えてみるとそうやってできるのは環境に恵まれているからだと思います。家族、友人などなど。あなたに近しい人はあなたを尊重してくれてます。食べ物が美味しくて、好きなものを買えて、楽しく遊んで、人生、うまくいくと思ってましたよね。

 残念〜!!うまくいきません。思ってるよりずっと自分という存在が複雑だということに気がつくだけの1年になりま〜す!気がついた時点で何か変わるとかは特にありません。気がついても毎日は同じように過ぎるし、周りの人はあなたとは違う選択をして、新しい場所へ向かいます。自分は、自分だけがフラフラとした浮遊物のような感覚を持ったまま、どこにも行けずに生きていきます。穏やかで暖かい海の浮遊物になれば、何も考えずに、何も恐れずにいれたでしょうけどあなたがたどり着いたのは荒れに荒れた海です。海ですらないかも。何もわからない暗闇に放り出される感覚を何度か味わうことになります。自分は空を飛んでスイスイと進んでいく存在にはなれなかったんだな〜と痛感します。涙が出る時もあります。何もしたくなくなって、どこにも行きたくなくなる時もあります。全てのものが無意味で、自分がやってきたことが一瞬で不要物扱いされた気分になる時もあります。同じになれない。同じようにできない。自分の大切に抱えてきたものをタコ殴りにされることもあります。先に言っておきますけどそれ、しんどいです。夜中に眠れないかも、と不安になることがあります。1日中液晶を見続けることに罪悪感を覚えるようになります。言葉を探して、探して、情報の波に呑まれて息をしてるのかどうかわからなくなる時があります。自分はこの先何もできないんだろうか、と時間が進むことに価値を感じなくなります。それでもあなたは何とかそこに留まって、じっとその、何かわからないものと対峙します。これは未来の人間からのメッセージなので、そうなります。過去は変えられないので、そうなることが決まっています。苦しくても、辛くても、寂しくても。

 それともう1つ、言っておきます。今でも、その得体の知れないものとは離れられていません。それは私の傍にいます。ただ、そこにいます。何もしてきません。私が目を向けても何も。たまに、それが大きくなって視界を遮ることがあります。そうしたら、散歩に行きます。散歩をしているとそれは少し、小さくなります。それから、友人と話します。家族のような近い存在ではなく、友人と。そうするとそれは段々と小さくなって、また自分の傍でじっと、じっとしています。確証はありませんが、それはいつまでも消えないと思います。他の人がそれを認識しているのかは定かではありませんが、私の傍からは離れてくれないようです。

 苦しくなったら、どこかへ行ってみてください。何もかも投げ出したいと思ったら、何もかもやめてみてください。何もできない自分を責めないで、そんな日は眠ってください。眠れない時は眠らなくてもいいです。戦わなくても、勝てなくても、大丈夫です。いつの間にか、リングに立っていたらそこから降りてください。それに気が付けるだけの嗅覚を持っているから、大丈夫です。大丈夫だと思っておいてください。

 生まれてから何十年と経っているけど、自分が自分として生きていけるという実感をまだ持っていないと思います。それに気がつくのが、今からの1年です。その先の時間は苦しいです。でも、その先のことは自分にもわかりません。だから、立ち止まることに億劫にならないでください。立ち止まると進んでいないように思えて不安になるかもしれない。走り抜けていく人々が羨ましくなるかもしれない。同じように走っても、追いつけないし、どんどん追い抜かれるかもしれない。でもある時、ふと辺りが全く見たことの無い場所になることがあります。立っている場所ではなく、景色が変わっていることがあります。そうしたら、探検してみてください。知らないこと、見たことのないもの、出会ったことのない人と遭遇します。そうしてフラフラしてみてください。その中で鼻の奥が痛くなったら、それがサインです。逃さないように、捕まえてください。何でもいい。人でなくても、目に見えるものでなくても。それがどこかへ連れて行ってくれます。そのサインだけ見失わないようにしてください。それが、現状の自分が言えることです。その瞬間があれば、多分大丈夫です。大丈夫じゃなくてもいいです。大丈夫じゃないなりにどうにかします。どうにかならなくてもいいと思える自分になれます。それがあなたが回り回って、寄り道して見つけたことの1つです。それっぽっちを見つけるのに時間がかかりましたが、見つからないよりはマシだったと思います。

 大丈夫にならなくても大丈夫。どうやっても時間は進む。1年なんてあっという間で、1年前の自分のことなんて覚えてないし、それでもいい。それでいいと思う。



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下書きに残っていた2021年に書いたやつ。読み返したい部分があるからアップしておく。