水辺で待つ

書き残し

書き留めていたこと

あっさりと崩れ去る。

あまりにもあっさりすぎて笑ってしまいそうにもなる。

私の自意識というものはかなり脆い。

私を私たらしめるものが、この世には少なすぎる。

私が私であることの確信を持てたことがあまりにも少なすぎる。

この世ではまだ、私は私と名乗るだけの確信を持てないでいる。

その確信を探して探して、探しているのだ。

この世にようやく生まれたばかりの、脆くて頼りない私は、その確信のために。

  

 

大きな影が落ちた地面に差す、一瞬の閃光を見るとき。

そのときに、目に、脳に、そして過去の中に、私たちは世界というものを目にする。

そして思案する。

そこにいる自分を。イメージする。いつか、その場所へ足を踏み入れることを。

瞬きの内に消えてしまいそうな閃光。

いつか、手を伸ばしたはずの、届かなかった光。その温度。

永遠に触れることのできない煌めきに、いつまでも焦がれている。

 

 

どうしようもないほどの永存を、断ち切れなかったその存在を

私は私が灰になって広大な海へと、深々とした山へと、誰の目にも見えない風になって漂うその日まで

この腕に抱いていたいと思う

そうして私が抱えたものがいつか地表に染み渡ったとき

誰かがつまづいた視線の先で

誰かが手をついて転んだ先で

その存在に触れる

そのとき その瞬間にだけ私の永存は一瞬だけ息をする

ただその時を待つだけの 途方もないほどの時間を 私は

いつまでも いつまでも 私自身さえ忘れても 待っている

切り離したはずの私の一部は、雨水が地に染み込むように

いつまでも私の一部であり続けていて 忘れてしまった頃に 大抵

誰かが触れるのだ 掘り返して問うてくるのだ

その永存について 私の一部について

それは一体誰なのか 私にはわからない わからないけれどその誰かもただそこに存在するだけの永存のはずだ

それはもしかすると、私なのかもしれない

私たちはきっとそうやって、いつか、誰かと繋がっていく 

 

 何もかもめちゃくちゃになって、不安定なまま毎日を過ごしていた時期に書き留めていたものを忘れていた。

 これらを書いた時から随分時間が経っているけれど、今の自分と、あの時の自分はちっとも変わっていないような感じがしている。時間だけが過ぎ去って、私自身は何もできないまま、どうすることもできないまま雁字搦めになって、うつうつと毎日を過ごしている。

 この状態は、一体いつまで続くのだろう。そんなことを考えてもう、1年が経ってしまった。私は、私をどうしたいのだろう。答えが見つからない問いを考えるのは、苦しい。きっとこの先もずっと同じように、こんな風に生きてしまうのだと思うと、どこか、誰も私のことを知らない場所で、誰にも知られずに生きてみたいと思ってしまう。そうする勇気も気力もないのに、ずっとそうした世界に憧れて、自分ごと立ち去ってしまいたくなる。

 働いても、勉強をしていても、何をしていても、私はそこにいない感じがして、どうすることもできないまま立ち尽くしている。

 いつか、変えることができるだろうか。こうやって書き連ねたことも忘れてしまえるくらいになれるだろうか。